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エフェクター製作 - Power Supply【依頼】

嬉しい事にエフェクターの製作依頼を何件か承りまして、そのうちの一つのパワーサプライを製作しました。

DSC_0479.jpg



依頼者さんの内容は、

  • 1590Aに収まるサイズ
  • 6ポート出力(デジアナ混合OK)
  • 出力は手前側面
  • サプライ入力は右側
  • 拡張予定があるのでスルー出力が欲しい
  • その他LEDとかその位置とか
  • なるべく予算低めに


と、特殊な構成の希望ではなかったのである程度安くコンパクトにまとめられそうです。


手軽且つ安価にエフェクターの電源として用いられている9Vを手に入れるには、"3端子レギュレーターIC"というものを使うと効率的です。

定電圧ICとも呼ばれ、7805, 7809, 7815など、「78」の次に出力できる電圧が記されているICで、その名の通り3つの端子が本体より出ています。
端子はそれぞれ、「電源入力」、「0V(GND)」、「電源出力(78XXのXX分)」となっています。

下の写真は手持ちですぐ用意できたレギュレーターICで、左側のように真ん中の端子とネジ止めの穴が付いた放熱板が導通したタイプや、それらがすべて絶縁物でモールドされた真ん中の部品、出力できる電流が小さくなるけれど小型化されている右側のICなど、種類は様々ですがピン配置や性能はほぼ一緒です。

定電圧ICにより降下させた電力は熱に変換されるため、大電流を扱う際は必ずIC背面に放熱板を取り付けます。
今回はダイキャストボックスがアルミ製で放熱が望めるため、そのままケースにICを固定してしまいます。

他にも抵抗2本を追加するだけで任意の電圧を得る事が出来る、"可変型レギュレーターIC"というものも存在します。

2013-04-10 20.33.43.jpg


ICなので主要部品はパッケージにすべて収まっているため、極端ですがICから出ている3本の足だけで定電圧を手に入れる事が出来ます。

しかしそれだけでは理想の電源と言うには程遠く、ある程度のトラブルが付いてきてしまいます。そのためいくつか部品を追加する事でトラブルを解消する事が出来ます。


以下が製作したMPS-01の回路図です。今回は一つのレギュレーターに簡単な保護回路を加えた構成にしました。

MPS-01.png


7809の配線をちょっと工夫していますので順を追って説明していきます。(工夫って言うレベルなのか?)


まず、78XXシリーズのデータシートに掲載されていた最小構成のアプリケーションノートです。(Fix.1-1)

ICの他に、INとOUTにバイパスコンデンサを加えたものです。

fix1-1.png


バイパスコンデンサC1, C0は電源に含まれているリップル電圧を除去する働きを持っています。

リップルを簡単に説明すると、ACアダプターなどから直流電源を得た場合、スイッチング電源や外来ノイズなどによって一瞬だけ電圧が急激に変化する現象(直流電圧に含まれてしまった交流電圧(交流成分)と思って下さい。)のことを言い、当然ですがリップルが含まれていない直流電圧が理想の電源となります。

これを解消するには、コンデンサを電源と並列に接続してリップルを逃がす平滑回路を構成するのが一般的で、上記のコンデンサは高周波特性に優れているセラミックコンデンサを使用するのが適しています。



これだけでも十分機能するのですが、Viの電源がスイッチング電源であったり、あまり綺麗ではない直流の場合はさらに電解コンデンサ等で平滑回路の容量を増やす事で波形を綺麗にすることが出来ます。トランスを使用した電源等で交流から直流に変換した直後の場合などは、CC1の容量をさらに増やせば綺麗な直流の電圧をVoより出力することが出来ます。(Fix.2-2)

fix1-2.png


基本的にVi側の電解コンデンサCC1を大容量にし、Vo側の電解コンデンサCC0には低容量のものを選定します。

Vo側のリップル除去を強固にする場合、CC0の容量を増やしても解決するのですが、その場合は必ず図のようにOUTとINにダイオードD1を接続します。
これは、電源を切った際にVo側の電解コンデンサに蓄電された電圧がICのOUTから侵入しICを破壊してしまう恐れがあるため、このトラブルを解消するための対応です。

D1は間違っても逆向きに接続しないように。電源を入れたら間違いなくICを壊してしまいます。



さて今回は使う意味としては違うのですが、ICのGNDと回路のGNDの間にダイオードが一本接続されています。(Fix.1-3)

fix1-3.png


これはダイオードの電圧降下の特性を利用した使い方で、定電圧ICの出力電圧というのは、ICのOUT端子とGND端子との電位差がICの示している電圧値になります。従ってダイオードD2の電圧降下が0.6Vとすると、ICのGND端子には0.6V印可されている事になります。そのためそれにICの出力電圧値が加わり、上図の回路の出力電圧は9.6Vとなります。

もし定電圧ICに希望する出力電圧がない場合はこのように電圧のかさ上げをすることで、希望する電圧を取り出すことが出来たりする訳です。
しかし過剰にダイオードD2をたくさん接続してしまうとICにその分だけの負担がかかってしまうため、せいぜい2〜3本程度の留めておくのが良いでしょう。



今回このような使い方をしたくてダイオードをFix.1-3のように接続したのではなく、保護回路として出力端子にダイオードを設けたかったためです。

先ほど書いたようにダイオードは逆方向の電流を通さない働きをする他に、順方向の電圧をおよそ0.6V下げる働きを持っています。そのまま単純に出力端子にダイオードD3を設けただけでは出力電圧が、9V - 0.6V = 8.4V となってしまうため、D2を追加し電圧をかさ上げすることでダイオードの電圧降下を打ち消す事が出来ます。

今回は電源の逆挿しを防止する目的でこのような構成にしました。(Fix.1-4)

fix1-4.png


これが今回の回路の主要構成になりますです。



さてお待たせ致しました。製作に入ります!
今回買った部品は以下の通りです。

品目メーカー定数購入場所単価合計(単価x個数)備考
定電圧IC新日本無線NJM7809秋月電子70701Aフルモールド
電解コンデンサnichiconVX 470u/16V 1010*1
電解コンデンサnichiconVX 220u/16V 1010*1
コンデンサ村田製作所GRM40F104Z50秋月電子24SMD部品*2
ダイオードFairchild1N4002千石電商5401N400Xなら何でも
LEDOptoSupplyOSUB5111A秋月電子50505mm Blue 7cd*3
DCジャックマル信無線MJ-14千石電商80480OUT端子
DCジャックマル信無線MJ-40千石電商9090IN / THRU端子
基板TAKACHITNF 15-25千石電商110110FR-4 ユニバーサル基板
ケースTAKACHITD4-9-3Nエスエス無線5675671590A汎用
卵ラグ φ3mm千石電商55 
ビス八幡ねじECN-3コーナン150150超低頭 M3x10mm Ni製
うち歯ワッシャ八幡ねじM3コーナン1020 
ナット M3千石電商55 
ACアダプタGo Foward Ent.GF18-US1512-T秋月電子75075015V/1.2A


*1 : 手持ち品でニチコン汎用品があったため使用しました。値段は予想額です。
*2 : 100個入りのパックで200円でしたが使うのは2個なので単価を2円にしています。
*3 : 2個入りのパックで100円でしたが使うのは1個なので単価を50円にしています。



実際に基板に実装する部品は7個、電解コンデンサを外付けにすれば5個なので基板を小さくすることが出来ます。今回は出力端子のダイオード以外は基板上に実装しましたが、それでも25mm x 15mmのユニバーサル基板に納めることが出来ました。

TAKACHIから同社のケースに綺麗に納まるユニバーサル基板が安価で販売されていて、且つガラスエポキシ・スルーホール仕様と、小規模回路の製作にはうってつけです(*´ω`*)

くまモンピックは大きさ比較用...(´゚ω゚):;*.':;

DSC_0451.jpg


スペースが限られているため、今回初めて表面実装の積セラを使うことにしました。1.6mm x 0.8mm や、2.0mm x 1.2mm あたりが使いやすく初心者にも扱いやすい大きさではないかと。

DSC_0474.jpg


最近タカチよりHAMMOND 1590Aサイズと同等のダイキャストケースが発売されたので、今後使用するダイキャストケースはHAMMONDからタカチに移行する予定です。

しかしシール逆さまに貼らなくったって...。意味があるのかなぁ?

DSC_0464.jpg


廉価ケースと違ってアルミは2mm厚、コーナーもしっかりと堅牢に作られています。

DSC_0465.jpg


今回は簡単に流れだけ。穴開け完了。

DSC_0466.jpg

DSC_0468.jpg


部品を組み付け...、

DSC_0470.jpg

DSC_0473.jpg


かんせい!

DSC_0476.jpg



考察

今回はダイオードで逆接続防止による他エフェクター破壊の保護と、それに伴う電圧のかさ上げを行いましたが、これはできるだけ電圧降下の量を同じにするために同じ型番のダイオードを使用した方が良いと思われます。使用するダイオードはIoが1A以上とれる整流ダイオードであれば何でも良いです。今回は定電圧なので大丈夫だと思いますが、Vrrmは使用する電源アダプターの定格出力電圧より上を選んで下さい。

今回は1つの定電圧ICで6つの出力を取っているため、デジタルとアナログを混在させてしまうと特有のノイスが発生してしまう恐れがあります。これを解消するためには定電圧ICを2つ使用し、別電源でデジタルとアナログの棲み分けを行うと改善されます。

入力電圧はICの負荷にある程度余分に電圧が必要なため、出力電圧よりも3V以上高い電圧が出力できるACアダプター等を選定して下さい。低損失タイプであれば定電圧より1.5V程高ければ安定した動作が望めます。


もし1Aも出力させる予定がなかったり分配させる数が少なければ、小型の定電圧ICを用いてさらなる小型化を行うことも出来ます。保護回路や過熱保護も備わっているので多少だったら壊れないICなので色々試して戴ければと思います。


Datasheet: LM78XX(UNISONIC TECHNOLOGIES Co., Ltd.) - Alldatasheet.com

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